2023.3.31
神戸 2022 協働プロトタイピング
当初のチーム名は「なぐりこみ隊」だった。「高校受験を前に、成績向上のために熱中していたテニスを否応なしに中断しなければならなかったのが嫌だった」ゆうき、「中学時代、集団行動やルール遵守を過度に求められて窮屈だった」ひめちゃん、引っ越し先のアメリカの中学で「公式を覚えていないと数学のテストが解けないのは、世界の当たり前ではないんだと知った(公式は黒板に貼り出されており、解を導く過程が採点対象)」ロイをはじめ、たいら、かほ、はかま。6名のメンバーは、偏差値では測りきれない個の才能を引き出す“探求型学習”にフォーカスし、教育現場で探求型学習の浸透を阻む仮想敵に“先生”を設定した。
しかし、敵情視察のヒアリングと探求型学習の現場取材を重ねるなかで、6名ははたと気づく。先生は敵じゃない、かも。「日本の教育が30年も変わらないのは、“変えたくない”人たちがいるからだろうと踏んでいた。少し調べたら、そういう“情報”もたくさん出てくるし。でも、教育委員会や現場の先生たちの“声”を聞きに行くと、自分が触れてきた“情報”の裏に、教師不足や予算・時間の兼ね合いなど、膨大な事情と試行錯誤があることがわかった」(ロイ)。
「文部科学省も『主体的・対話的で深い教育』に舵をきろうとしているけれど、現状は探求型学習の先進校でも、スモールスタートでじわじわと探求型学習の指導者を増やしている段階。学校の先生たちも歯がゆい思いをしながら実践・展開しているんだな」(ゆうき)。
先生と自分たちは同じ方向を見つめている。そんな想いで、チーム名を「Leaning革命」に改めた。
探求型学習のオリジナル授業をプロトタイピングするにあたって、学習対象に選んだのは小学生。「部活や受験勉強に追われる中高生に比べて、小学生は“自由に考える”時間が比較的多い。“勉強の川”に流されて“好きなこと”を諦める中高生にならないでほしいと願って、授業を組み立てた。“好きなこと”が軸にあるからこそ、算数や国語とかの勉強が大切になっていくんだよって伝えたくて。目指しているのは、授業の商品化。まだまだ遠く及ばないけれど、ブラッシュアップを重ねて、機会をもらえたらぜひ小学校で模擬授業したい」(ひめちゃん)。
中高生/ゆうき(高3)、ひめちゃん(高2)、ロイ(高1)、たいら(中1)、かほ(高1)、はかま(高1)
企業・行政サポーター/土井仁吾((株)omochi)、長谷川翔太(H2O リテイリング(株))
コーディネーター/江副 真文
自身の受験経験や進学・転校で体感した、受け身で詰め込み型の日本の教育。主体的・探求的な学びを妨げているのは……先生?
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学校の先生や教育委員会、探究型学習の先進校などを取材。見えてきたのは、先生たちも教育方法を転換しようと汗をかいている姿。
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自分たちにできることを検討し、「好きなことというボートがあれば、“勉強の川”にただ流されず行きたい島に辿りつける」をメッセージにした授業を制作。